知っているとダメになる動画講座


第五章
簡単カッコいい格闘アクションアニメの作り方

(C)乃美康治 (C)橋川TAN (C)乃美康治

みんなが教科書やノートの端に描いてたパラパラ漫画って、どんな内容だった?

棒人間の格闘だった人って多くないかな?

この章では、格闘アニメの基本的な動きを解説するよ!



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レベル1
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【予備動作を理解しよう】


「人物がパンチを出す」という動作を考えてみよう!


まずパンチを出す前の構えたポーズと、パンチを出した後のポーズの絵を描いてみたよ。

(C)乃美康治  (C)乃美康治

重ねてみますた。

(C)乃美康治

パンチを出す姿勢は、気持ち上半身を前傾させると自然に見えるよ。

そしてパンチを出した後のポーズは、腕だけではなくて肩や身体全体を前に出すと自然に見えるんだ。

パンチを出さない側の手(引き手)は、パンチを出した後、身体側にグッと引くと、力を入れた感じが出てカッコいいよ。



そんでは、ちょっとこのまま動かしてみよう。

(C)乃美康治


一応パンチを出している動画にはなったけど…

なんだかこれって何かを殴ってると言うより、腕を前に突き出してるって感じに見えない?


ぜんぜん力の入ったパンチに見えないよね。

どうしてなんだろう?



それは…

「かまえて、パンチを出す」という一連の動きの中に「力を溜める」という動作が無いからなんだ。

「力を溜める」動作がないと、力のこもった動きに見えないんだ。



パンチを前に出す直前、身体側に拳を引き、筋肉を収縮させて力を溜めた絵を追加してみよう。

(C)乃美康治

この、力を溜める動作を「予備動作」と言うんだ。



この動作を動画の中に加えてみよう!
(C)乃美康治
腕だけではなく、上半身全体を多少後ろに引くと力を入れた感じが出るよ。



予備動作を入れて動かしてみたよ。

(C)乃美康治



最初の予備動作の無い画面と比べてみようか。

(C)乃美康治  (C)乃美康治



人って、力を込めた動きをしようとすると、予備動作をするんだ。


例えばバットを振る瞬間、バットを振る方向の逆に引き、力を溜めるよね。

ジャンプする瞬間、腰を沈めて、力を溜めるよね。


力を溜める予備動作を一連の動きの中に加えると、動きはより「らしく」見えるんだ。


(ちょっと余談っぽいけど、プロボクサーが放つジャブとかの場合は、パンチを相手に見破られないように
予備動作を極力抑えてるから、そんな動きを描くときは、予備動作無しの作画にしようね。)





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レベル2
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【フォロースルーを理解しよう】


予備動作を入れて、一応力の入ったパンチになったけど…

パンチを打った後、急にピタリと腕が止まるのが、なんだかちょっと不自然だよね。

(C)乃美康治


この動作を「らしく」見せるためにはどうすればいいんだろう?



予備動作と同じく、伸びきった瞬間の腕の動きを考えてみよう!


パンチを出して、腕が伸びきるのはインパクトの一瞬だけだよね。

すぐに筋肉が縮み、伸びきった腕もちょっと縮んじゃう。

そう、動いているものは急には止まらないんだ。


ということで、腕が少し縮む動作を、腕が伸びきった直後に加えよう。

(C)乃美康治
ちょっと腕を曲げて腕が縮んだ様子を多少オーバーに表現してみたよ。


伸びきった腕と合成するとこんな感じ。
(C)乃美康治
腕が縮むのと同時に、上半身もちょっと後ろに戻すと自然に見えるよ。



さぁ、動かしてみよう。

(C)乃美康治

こういった後追いの動きを「フォロースルー」と言うんだ。

パンチのように、ちょこっと戻る動きは「クッション」と言ったほうが判り易いかな。

フォロースルーの無い動画と比べてみるね。

(C)乃美康治  (C)乃美康治

フォロースルーを付けると動きの硬さが取れ、自然に見えるんだ。



一番最初に描いた予備動作もフォロースルーも無い動画と比べてみよう。

(C)乃美康治  (C)乃美康治


動きの解説のために、たった4枚という最低限の枚数で作ったけど
予備動作とフォロースルーの効果が感じられるかな?



最後に、予備動作までに中1枚、フォロースルーの後、最初のポーズに戻るループに中1枚入れて
色を付けて動かしてみたよ。

(C)乃美康治

この、「予備動作」「フォロースルー」という動きは、格闘アニメと言うか
力のこもったカッコいい動きをさせるときの基本なんだ。

しっかり覚えようね!





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レベル3
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【簡単カッコいい描き方のコツを知ろう】


ジャンプするアニメで、もっと具体的に予備動作とフォロースルーを解説するよ。


(C)コザキユースケ  (C)コザキユースケ

この2枚だけでもジャンプのアニメにはなるけど…

(C)コザキユースケ

なんだかすごく不自然だよね。

そこで力をためた動き、「予備動作」を入れよう。

(C)コザキユースケ

(C)コザキユースケ

(C)コザキユースケ

(C)コザキユースケ

そしてジャンプが終わっても腕と足は急には止まらない。

後追いの動き「フォロースルー」を入れよう。

(C)コザキユースケ

(C)コザキユースケ

(C)コザキユースケ

(C)コザキユースケ


完成だ!

(C)コザキユースケ

ただ飛んで着地するだけじゃなく
ジャンプする前に、一度下向きの力を溜め、
着地した後に、体重を支える動作をさせると自然な動きになるんだよ。



実際には、これに加えて、状況に合った「表情」を入れ、「構図」を工夫し
「動きの誇張(タメを効かせる)」を入れて
中割りを増やしたり、逆に省略したりして迫力ある画面にしていくんだ。

ちょっと難しいけど、とっても大事なことだから頑張ってやってみよう。(^O^)/





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【予備動作とフォロースルーの応用】


格闘アニメの基本として、予備動作とフォロースルーを解説したけど
これって人物の動きだけじゃなく、いろんなことにも応用されるんだ。

(C)飛砂走石

この動きに、予備動作とフォロースルーが入っているのが分かるかな?

右に回転を始める前に、一瞬左に少し回転し、
右回転が終わったとき、一瞬右に行きすぎて戻ってるんだ。


「予備動作」と「フォロースルー」というのは、アニメ特有の特別な法則ではなく
自然界にある生き物の動作や物理法則を記号化して抽出したものなんだ。



自然にあるいつも見ているものの記号化された動きだからこそ、見てる人は「らしさ」を感じるんだね。




ちなみに、ここでは「フォロースルー」を分かりやすく解説するために
「後追いの動き」としてるけど・・・

ディズニーアニメーション 生命を吹き込む魔法(徳間書店)という本に
ウォルト・ディズニー氏の、こんな言葉が載ってる。


 
「物体の全体が急に止まることは無いんだよ
 
最初にある部分が止まって、それから他の部分が止まるんだ」
 


これが本当の意味での、「フォロースルー」だと思ってね。





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【格闘アニメを簡単に作る裏ワザ】


この章は、ちょっと難しい話が続いたから、最後に誰でも描ける超簡単な格闘シーン作成の裏技を紹介するよ。


個人製作アニメを作っている人と以前話をしてたら、格闘シーンが苦手で
そこのシーンが作れないために、アニメの制作そのものが停止してしまってるって人がいたんだ。

そういう人は、ぜひこの裏技を活用してね!




みんな、アニメってものは

そのジャンルを決めたとき、絶対頑張らなきゃいけないところも決まるって知ってるかい?


もちろん作品ってものは、登場するキャラクターたちがしっかりと生きていて、
作品世界に確固たるバックボーンがあり、キャラのぶつかり合いによる
葛藤(かっとう)軋轢(あつれき)によるストーリーが起承転結でまとまっていて、構成が巧く
キャラデザが万人に受ける魅力的なもので、動きも存在感がありながら
静と動のタイミングがすばらしく、身体感覚に訴えるような絶妙かつ洗練されたもので
背景が絵画のごとき美しさを持ち、音楽が荘厳ストーリーとマッチしていて
声優の演技が秀逸で、つながりが良く見せ場も多く壮大なテーマでありながら
誰が見ても分かりやすくておもしろいなんてのが理想だよね。


でも、普通そんなのは無理



確かに作品は、ストーリーも動きもすべてがすばらしいなんてものが最高だけど、
実際、今みんなが見てる商業作品で、そんなアニメなんて無いよね。

でも、面白いと感じる作品って、けっこうあると思わない?




実は作品ってものは、ジャンルによって絶対がんばらねばならないところがあるんだ。

そしてある意味、そこさえがんばっていれば、他は手を抜いても許されるんだ。




具体的に例をあげるよ。

宇宙を征服しようとする悪い宇宙人と、巨大ロボットで地球を守る正義のヒーローの戦いを描いた
「宇宙最強ダーイマジーン」なんてアニメがあったとしよう。

こういうジャンルのアニメの場合、少しくらいストーリーが破綻していて構成やつながりが変でも
文句はあまり出ないんだ。

キャラクターが魅力的で、ロボットがカッコ良く動いていれば、すべて許されるんだ。




次に、宇宙を旅しながら想像を超えた世界でいろんなメンタリティーをもった生物たちとの出会いを描いた
「宇宙船ラゴス号の旅」なんてアニメがあったとしよう。

こういうジャンルのアニメの場合、少しくらい動きが変で、絵がダサダサだったりしても
文句はあまり出ないんだ。

アイディアが素晴らしく、構成とつながりが巧くて泣けるストーリーなら、すべて許されるんだ。




つまり、何が言いたいのかと言うと・・・




戦闘シーンが中心で、格闘をメインで魅せようとするアニメじゃなかったら・・・

格闘シーンなんてラクガキと煙を適当に描いときゃいいんだ。



(C)乃美康治




これは、戦闘後のシーンも同じ。



たまに殴られた後などのダメージを受けたキャラが上手く描けないって人がいるけど・・・

(こういう↓キャラのこと)
(C)千代鬼




これも無理して描くことはないんだ。



苦手だと感じたなら、描かなくてもいいようにすればいいんだ。

これで↓おk!!
(C)千代鬼


状況によっては、描かない方が効果が上がることさえあるんだよ!

(ちなみに文字は、「見せられないよ!」なんて書くと、きっとどこからか
ハヤテのごとく怒られるので絶対やめようね)(^^;




格闘シーンを描くのが苦手って人は、無理して描こうとせず、
描かずに魅せる方法を考えてみよう!





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格闘まとめ
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【格闘アニメの基本、その1】
力のこもった動きをさせたいなら『予備動作』を入れる


【格闘アニメの基本、その2】
自然な動きをさせたいなら『フォロースルー』を入れる


【格闘アニメの基本、その3】
格闘アニメが苦手なら、描かずに魅せる工夫をする





番外編(1)
簡単カッコいいアニメを作るコツ


みんな、くれぐれもココが、ダメになる講座だってこと忘れないでね。


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